今回は、障害者支援施設について、「おむつ」というありふれた些細なアイテムから考えてみたいと思う。利用者の高齢化が進み、だんだん排尿・排便がおぼつかなくなってくると紙おむつを着けてもらうことを支援側は選択していく。Looker-onが駆け出しの頃はまだ布おむつにおむつカバーという時期もあったが、今では紙おむつが当たり前。
今でこそ、テープ式、履くタイプ(リハビリパンツ)、パッド等々。メーカーも様々。そして、「紙おむつ」と言いながら、実際は液体を吸収し固める高分子ポリマーを利用して、陰部や体の尿汚染を防ぐために、尿をおむつ内に閉じ込めて廃棄する使い捨て装着物である。便のような水分と固形物が入り交ざったモノを吸収する機能は持っていないので、陰部や体を便汚染から防ぐとなると、吸収もできない。便等の固形物の水っ気を若干吸い取るぐらいで、固形物もおむつ内に完全に閉じ込めることはできない。女性の場合は、便尿以外に年齢によっては経血やおりものが混ざり合う時もあるが、男性はその分はないが、陰茎が形状等千差万別であるため、尿汚染を防ぐとなると、おむつにパットをどのように組み合わせるか、そして介護者のスキルが求められることになる。
このように、高齢化や重度化に伴って、おむつについてのコストやスキルはどんどん上がるばかりだ。今回は、排泄ケアやおむつについて考えてみたい。
そもそも障害者支援施設においておむつや排泄ケアはどのように取り扱われているのか?いつも通り、法令的な側面から整理してみよう。
精神薄弱者福祉法下において、精神薄弱者援護施設基準(昭和43年(1968年)5月10日)では、
第二章 運営の基準
第二節 精神薄弱者更生施設
(生活指導等)
第十八条 更生施設は、入所者が日常生活におけるよい習慣を確立するとともに、社会生活への適応性を高めるようあらゆる機会を通じて生活指導を行うようにならなければならない。
2(略)
(健康管理等)
第二十一条 (略)
2 入所者(通所による入所者は除く)については、一週間に二回以上入浴をさせ、又は清拭を行わなければならない。
精神薄弱者福祉法下においては、以上のように非常に簡単な規定であった。これは、かなり前の投稿でもふれたが、そもそも福祉法が制定された時点で、想定されていた精神薄弱者は中軽度者が対象であり、介護が必要な重度者は主たる対象者ではなかったこと、そのため入所更生施設は、中軽度者の社会的更生機能と重度者保護機能の両方を抱きわせた機能を求められた。それ故、介護・保護機能についてはほとんど運営基準に書き込まれなかったのだと思われる。
この点は、精神薄弱者福祉法から知的障害者福祉法に名称が変更され、支援費制度になっても上記の運営基準について追加も改正も行われなかった。
障害者自立支援法が制定され、知的障害者入所更生施設、入所授産施設が障害者支援施設に包括される段階になると、「施設入所支援」が原則、障害程度区分4以上となると、「介護」の基準が求められことになる。
障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等に関する人員、設備及び運営に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省令第172号)
(介護)
第26条 介護は、利用者の心身の状況に応じ、利用者の自立の支援と日常生活の充実に資するよう、 適切な技術をもって行われなければならない。
2 指定障害者支援施設等は、施設入所支援の提供に当たっては、適切な方法により、利用者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
3 指定障害者支援施設等は、生活介護又は施設入所支援の提供に当たっては、利用者の心身の状況に応じ、適切な方法により、排せつの自立について必要な援助を行わなければならない。
4 指定障害者支援施設等は、生活介護又は施設入所支援の提供に当たっては、おむつを使用せざるを得ない利用者のおむつを適切に取り替えなければならない。
5(略)
6(略)
7(略)
障害者自立支援法に基づく指定障害者支援施設等に関する人員、設備及び運営に関する基準(平成18年9月29日厚生労働省令第172号)について(平成19年1月26日障発第0126001号)【解釈通知】
(20) 介護(基準第26条)
① 施設障害福祉サービスの提供に当たっては、 利用者の入格に十分配慮し、施設障害福祉サービス計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、利用者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって介護を提供し、 又は必要な支援を行うものとする。
② 排せつの介護は、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
③ 利用者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
自立支援法はご存じのように総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に改正されたが、この部分は、令和8年度時点でもこの内容が継承されている。
運営基準やその解釈通知から見受けられる排泄ケアや「おむつ」の位置づけは、
障害支援区分が高い方であっても、自立支援原則に基づき排泄ケアをする、即ち自分でトイレにおいて排尿排便ができる、もしくはヘルプを発して自分で排尿排便ができる(場所は問わない)即ち自分や周囲の便尿汚染を回避できるようにすることが示されている。そして「おむつ」は自分でトイレに行く等の汚染回避行動がとれない場合の便尿汚染リスクを最小限に抑えるための最終手段、最終措置として位置付けられている。但し、おむつ交換の回数は、最小限に抑えるため目的が自己目的化するのではなく、利用者の意思を尊重しつつも、利用者の排せつの状況を踏まえて実施することが求められているように見受けられる。見受けられるとしたのは、「おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。」という文章が、排泄ケアでは、利用者の心身の状況と排せつの状況の二本立てでアセスメントを要求していたのに対して、おむつ交換については排せつの状況しか判断基準が示されていないからだ。(これは、排せつの意思を持っていても、例えば肛門機能を使いこなせず、たれ流しになってしまう場合とかを想定しているのだろうか)
ただ現場的な感覚で言えば、介護度が高くなればなるほど、即ち重度化高齢化すればするほど、おむつの使用頻度や枚数は増えていく。当然、使用頻度が高くなれば、おむつにかかるコストについて高くなっていく。おむつ代については、法令的にはどうなのか?
厚生労働省は、障害者自立支援法の施行に合わせて、以下のようなQ&Aを公開している。
障害福祉サービスに係るQ&A(指定基準・報酬関係)(VOL.1)(平成19年6月29日)
問4 おむつ代について、事業所(施設)が利用者に対して提供した場合、当該費用について、利用者から求めることは可能か。
(答)
1.おむつ代については、利用者が自ら負担することを基本とするが、おむつを常時利用する必要のある重度の障害者の利用が見込まれる「療養介護」及び「生活介護」については、報酬上も一定の評価をしていることから、利用者に対し、指定生活介護事業所(施設)又は指定療養介護事業所が一律に提供するおむつについては、利用者から負担を求めてはならない。
2.ただし、利用者の希望及び選定により、当該指定生活介護事業所(施設)及び指定療養介護事業所が一律に提供するおむつ以外のおむつを提供する場合にあっては、この限りではない。
3.療養介護については、利用者におむつ代の負担を求めることは可能である。ただし、療養介護も生活介護と同様施設で提供する日用品費等の費用につき、一定の評価をしているところである。従って、施設で提供する日用品費等全てについて、全額自己負担とする事のないよう配慮されたい。
このQ&Aは、最近でも有効である。東京都福祉局からのおむつ代に関する照会に対する厚生労働省の回答が公開されている。(6福祉障施第595号 令和6年5月17日 東京都福祉局障害者施策推進部施設サービス支援課長)
障害者支援施設及び生活介護事業所における利用者のおむつ代の取扱いについて(通知)
(https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/Download.php?sqid=6255)
Q&Aでも東京都照会回答のいずれも、厚生労働省はおむつ代について「報酬上一定の評価している」としている。これを語句通り受け取ると、報酬単価の中におむつ代が何%かで計上されていると考えてしまう。しかし、その計算根拠を探したのであるが、見つけられなかった。そもそも、報酬単価の計算根拠について、事業者側は明確な計算根拠書をこれまでも見たことはない。「報酬上一定の評価している」とは何を意味しているのだろうか?
厚生労働省が発している考え方が、以下の通達に示されている。
障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて(◆平成18年12月06日障発第1206002号)
この通達に沿って、厚生労働省の概念を整理してみよう。
2 「その他の日常生活費」の受領に係る基準
「その他の日常生活費」の趣旨にかんがみ、事業者又は施設が、利用者から「その他の日常生活費」の徴収を行うに当たっては、次に掲げる基準が遵守されなければならないものとする。
(1) 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、介護給付費又は訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の対象となっているサービスとの間に重複関係がないこと。
(2) 介護給付費等の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあやふやな名目の費用の徴収は認められず、費用の内訳が明らかにされる必要があること。
(3) 「その他の日常生活費」の受領については、利用者に事前に十分な説明を行い、その同意を得なければならないこと。
(4) 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当額の範囲内で行われるべきものであること。
(5) 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、事業者又は施設の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると認められる重要事項として、当該事業者又は施設の見やすい場所に掲示されなければならないこと。ただし、「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のものである場合には、「実費」という形の定め方が許されるものであること。
「障害福祉サービス等において提供される便宜」=「介護給付費等(介護給付費又は訓練等給付費)の対象となっているサービス」による便宜+「日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、支給決定障害者に負担させることが適当と認められるもの」(=「その他の日常生活費」)による便宜
に分割されている。当然、「介護給費等の対象になっているサービスによる便宜」と「その他の日常生活費」の間には重複関係はない。
「その他の日常生活費」の具体的な範囲は
①利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者又は施設が提供する場合に係る費用
「身の回り品として日常生活に必要なもの」=「一般的に利用者の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化粧品等の個人用の日用品等)」
利用者の希望によって用意提供されるものなので、当然画一的な料金にはなりえない。
②利用者の希望によって、教養娯楽等として日常生活に必要なものを事業者又は施設が提供する場合に係る費用
「教養娯楽等として日常生活に必要なもの」の例としては、事業者又は施設が障害福祉サービス等の提供の一環として実施するクラブ活動や行事における材料費、入浴に係る費用等
従って、すべての利用者に一律に提供される教養娯楽に係る費用(共用の談話室等にあるテレビやカラオケ設備の使用料等)について、「その他の日常生活費」として徴収することは認められないものである。
おむつは、利用者によっては「身の回り品として日常生活に必要なもの」にあたるのは容易に想定されるが、利用者の希望を反映せず、障害者支援施設が一律決定提供するならば、利用者の希望を反映していないので、「その他日常生活費」に分類はできない。即ち、理念的に利用者から「おむつ代」として負担を求めることはできない、即ち、障害福祉サービス報酬の範疇に入ると論理的に結論付けることができる。これが、「報酬上一定の評価している」の語句に意味するところと推察される。
一方で、利用者がおむつの種類や枚数、装着枚数や回数といった方法について、利用者の希望や選定があるならば、利用者から負担をしてもらい、施設は利用者からおむつ代を徴収することができるという論理構成となっている。しかし、障害者支援施設は、自立支援原則と本人の排泄状況を踏まえる原則によって排泄支援やおむつ交換を行うよう義務付けられているとはいえ、行っている排泄支援とおむつ交換が本当に利用者の意思を尊重し、自立に向かっているのか適切に判断する基準をもっているだろうか?その部分については、明確な基準や指針があるとは言えないのではないだろうか?とするならば、おむつ代は最初の原則「利用者が自ら負担することを基本とする」として、「その他の日常生活費」にも組み込まないで、施設利用代として徴収するのでもない完全に私的な自己負担にするしかないと論理構成を行うのが手っ取り早いこととなる。
この論理構成は、実は社会福祉の領域では、高齢者・児童の分野にも貫かれている、つまり社会通念として「おむつ代は、個人もしくは家族が負担を負うもの」なのである。
介護保険の分野では
通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて(◆平成12年03月30日老企第54号)
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4395&dataType=1&pageNo=1)
1 「その他の日常生活費」の趣旨
「その他の日常生活費」は、利用者、入所者又は入院患者(以下「利用者等」という。)又はその家族等の自由な選択に基づき、事業者又は施設が通所介護等の提供の一環として提供する日常生活上の便宜に係る経費がこれに該当する。
なお、事業者又は施設により行われる便宜の供与であっても、サービスの提供と関係のないもの(利用者等の嗜好品の購入等)については、その費用は「その他の日常生活費」とは区別されるべきものである。
2 「その他の日常生活費」の受領に係る基準
「その他の日常生活費」の趣旨にかんがみ、事業者又は施設が利用者等から「その他の日常生活費」の徴収を行うに当たっては、以下に掲げる基準が遵守されなければならないものとする。
① 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、保険給付の対象となっているサービスとの間に重複関係がないこと。
② 保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用の徴収は認められず、費用の内訳が明らかにされる必要があること。
③ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜は、利用者等又はその家族等の自由な選択に基づいて行われるものでなければならず、事業者又は施設は「その他の日常生活費」の受領について利用者等又はその家族等に事前に十分な説明を行い、その同意を得なければならないこと。
④ 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当額の範囲内で行われるべきものであること。
⑤ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、当該事業者又は施設の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると認められる重要事項として、施設の見やすい場所に掲示されなければならないこと。ただし、「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のものである場合には、「実費」という形の定め方が許されるものであること。
とほぼ同一構成となっている。この通達が平成12年3月30日発令であることを見ても、この通たちが原型であることは間違いない。
しかし、この通達で特徴的なのは、以下の部分である。
(6) 留意事項
① (1)から(5)の①に掲げる「身の回り品として日常生活に必要なもの」とは、一般的に要介護者等の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化粧品等の個人用の日用品等)であって、利用者等の希望を確認した上で提供されるものをいう。
したがって、こうした物品を事業者又は施設がすべての利用者に対して一律に提供し、すべての利用者からその費用を画一的に徴収することは認められないものである。
④ 介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介護療養施設サービスの入所者等並びに短期入所生活介護及び短期入所療養介護の利用者のおむつに係る費用については、保険給付の対象とされていることから、おむつ代を始め、おむつカバー代及びこれらに係る洗濯代等おむつに係る費用は一切徴収できないことに留意すること。
「身の回り品として日常生活に必要なもの」の代表的なものとして、歯ブラシ、化粧品、シャンプー、タオル等の日用品があげられているが、おむつはこの範疇に真っ先に掲げられていいはずだが、掲げられていない。介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介護療養施設サービスの入所者等並びに短期入所生活介護及び短期入所療養介護の利用者のおむつに係る費用についてだけ、介護保険給付の対象として位置付けられていると示されているということは、それ以外の介護保険サービスについては、おむつは保険給付の対象外であり、なおかつ施設・事業所が徴収できる「その他の日常生活費」にも入らないということになる。すなわち、ここでも、おむつは「個人もしくは家族が負担を負うもの」であることが貫かれている。
*介護福祉施設サービスにおいて、おむつが保険給付に含まれているのは、同通達の「介護老人福祉施設である特別養護老人ホームは、従来から在宅生活が困難な入所者の生活の拠点としての機能を有しており、介護サービスだけでなく、入所者の日常生活全般にわたって援助を行ってきた」と認識され生活丸ごとの援助サービスという概念だからと推察される。介護保健施設サービス及び介護療養施設サービスについては、前者は排泄も含めリハビリの対象であること、後者についてはおむつが寝たきり等の生活でサービスに一体だからと思われる。
では、児童はどうか?子ども家庭庁が設立されて、子育てを取り組みやすいようにするために制度改革がどんどん進められているので、なかなか制度の本質が分かりづらい。しかし、以下の通達は、障害・介護の「その他の日常生活費」と考え方は同一であることが分かる。
特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準(平成二十六年内閣府令第三十九号)第13条4の四・五
(https://laws.e-gov.go.jp/law/426M60000002039)
(利用者負担額等の受領)
第十三条 特定教育・保育施設は、特定教育・保育を提供した際は、教育・保育給付認定保護者(満三歳未満保育認定子どもに係る教育・保育給付認定保護者に限る。)から当該特定教育・保育に係る利用者負担額(満三歳未満保育認定子どもに係る教育・保育給付認定保護者についての法第二十七条第三項第二号に掲げる額をいう。)の支払を受けるものとする。
2 特定教育・保育施設は、法定代理受領を受けないときは、教育・保育給付認定保護者から、当該特定教育・保育に係る特定教育・保育費用基準額(法第二十七条第三項第一号に掲げる額をいう。次項において同じ。)の支払を受けるものとする。
3 特定教育・保育施設は、前二項の支払を受ける額のほか、特定教育・保育の提供に当たって、当該特定教育・保育の質の向上を図る上で特に必要であると認められる対価について、当該特定教育・保育に要する費用として見込まれるものの額と特定教育・保育費用基準額との差額に相当する金額の範囲内で設定する額の支払を教育・保育給付認定保護者から受けることができる。
4 特定教育・保育施設は、前三項の支払を受ける額のほか、特定教育・保育において提供される便宜に要する費用のうち、次に掲げる費用の額の支払を教育・保育給付認定保護者から受けることができる。
一 日用品、文房具その他の特定教育・保育に必要な物品の購入に要する費用
二 特定教育・保育等に係る行事への参加に要する費用
三 食事の提供(次に掲げるものを除く。)に要する費用
イ 次の(1)又は(2)に掲げる満三歳以上教育・保育給付認定子どものうち、その教育・保育給付認定保護者及び当該教育・保育給付認定保護者と同一の世帯に属する者に係る市町村民税所得割合算額がそれぞれ(1)又は(2)に定める金額未満であるものに対する副食の提供
(以下 略)
特定教育・保育に必要な物品費・行事参加費・食費提供費については施設徴収による受け取りが可能であるが、よくよく読むと、ここに「おむつ」は必要物品費として明示されていない。生活保護・低所得階層向けに「実費徴収に関わる補足給付」制度(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/3d0f6299-369c-4de8-8393-edbcf1d731b4/208c65b1/20230929_policies_kokoseido_mushouka_tsuuchi_44.pdf)や幼児教育・保育の無償化の告知においてわざわざ、おむつ代は従来通り「実費」であることを明示している市町村特別区があるぐらいである。おむつは保育においても、「個人もしくは家族が負担を負うもの」であることが貫かれている。
保育所へ子どもを通わせる場合、おむつを家庭で購入し、一枚一枚名前を書き、袋に入れて職員に渡し、帰宅の際には使用済みのおむつが袋に入れられて返却されるのはこうした原理原則が貫かれているからだ。母親をはじめ家庭に大きな負担を掛けていると認識され始め、2023年1月23日に厚生労働省・内閣府(現こども家庭庁)が「保育所等における使用済みおむつの処分について」を自治体へ事務連絡を発出し、園内処分を推奨した。さらには、おむつのサブスクサービス(手ぶら登園)も導入する保育所も出てきて、家庭の手間負担を解消する取組が、官民双方で行われているが、この取り組みの本質、おむつは個人・家族負担という原理原則は社会福祉のどの分野でも揺らいでいないのだ。手間や負担感は軽減されたとして、その本質の是非は問われていない。
しかし、乳児・高齢者・障害者がおむつを利用しなければならない理由は、本人や家族の自己責任に帰すべきであろうか?(「自分でできないならせめて金は払え」ととられても仕方がない)おむつを利用しなければならない事情や障害特性があるのだから、その点は、社会的な支えが必要ではないだろうか?これまで、ことあるごとに日本における社会保障の原則として、歴史的に国家責任・社会連帯・個人の自由意思の尊重を満たす社会保険原則で組み立ててられてきたことを示してきた。おむつに係るケアについてはさることながら、「おむつ」というアイテムのコスト負担は社会的であるべきなのである。これは、個人単位で購入負担したコストを助成するとは違う。医療費と同じように、社会保険で購入し、何割かを被保険者が負担することだけのことだ。
あるマーケットリサーチによれば、「日本の紙おむつ市場は、2025年時点で32.0億米ドル規模に達しており、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)5.7%で拡大し、2035年には55.7億米ドルに達すると予測されている。」(これは、児童、成人、高齢様々な分野合算された数字である)
即ち
現在の為替レート(1ドル = 約157.57円)で計算すると
32億ドル = 約5,042億800万円(504,208,009,600円)
55.7億ドル = 約8,776億3,707万円(877,637,066,710円)
日本の令和8年度(2026年度)の国家予算における社会保障関係費(約39.1兆円)を基準にすると、それぞれの金額が占める割合は
32億ドル(約5,042億円):社会保障予算の 約1.29%
55.7億ドル(約8,776億円):社会保障予算の 約2.24%
日本の一般会計総額(約122.3兆円)全体と比較した場合は、32億ドルが約0.41%、55.7億ドルが約0.72%に相当する。
この金額をささやかとみるのか、これだけの額を個人負担とし、結果生活保護・低所得者層だけに補足給付で補填する形で、公的コストを低く抑えていると見るのか。読者の皆さんはどう考えるだろうか?
こうした議論を素通りして、障害者支援施設、知的障害福祉において、おむつは自己負担でと疑問と思わず進んでいくことが、自らの存在意義を自己否定していくことになりはしないかと懸念してしまうのだ。
「おむつ」、排泄ケアについては歴史的に整理していくと、さらに重要な問題にぶち当たる。この投稿を読んだ方は、次の投稿にも目を通してほしいと思う